2007/06/07

8,いざ!レーの街へ

 睡眠を充分にとれたからか、高山病の症状は朝起きたらスッキリしていた。どうなるかと思っていたけど、これならばどうにか出かけられそうだ。早速、レーの街に連れて行ってもらうことに。ああ、よかったよかった。
  ガイドブックも何も持たないで来ているという、“適度に力の抜けた旅”であるため、案内人は欠かせない私であった。ましてや、好んで町場のゲストハウスに 泊まることはせず、空港からまっすぐ村に来ているのだ。誰か“人”に私のガイドブックになってもらうのだ。まずはこのストックの村からどういう交通手段で 街に行くのかも分からないのだから、しっかり教えていただこう。どうやら交通手段はバスらしい。ギュルメットはもちろんワンボも一緒に行くという。彼は レーで何やら用事があるらしい。よーし、いざ街へ!

 “バス乗り場”という場所まで少し歩いた。といって何も停留所らしい看板か何かがあるわけではない。でも徐々に何となく人が集まってきた。ギュルメットたちとも親しく話始める。私も混ざって“ジュレー”と笑顔でごあいさつ。何でも土地の言葉で挨拶するのは旅の鉄則。
  そしてやってきたバス。バスと言っても白いミニバスだった。“Swaraj Mazda(スワラージ・マツダ)”とバスの車体に書いてある。インドに進出し合弁会社としてやっている日本の車と言えばMARUTI SUZUKIがメジャーだけど、MAZDAもたまに見かける。こんなところで日本のものに出会うとちょっと妙な気もちになるが、企業努力というものはこん なヒマラヤの山奥にまで届くのだと考えると感慨深くもなる。


     レーパレス
         
     中央はポログラウンド  

     レーパレスから見た街


 そのSwaraj Mazdaに揺られて40分ほどだろうか、レーの街に着いた。写真にあるように、まずは王道のレーパレスを見に行き、街を一望する。ああ、ラダックに来たのだな。深く空気をす吸い込む。
  乾いた土壁のパレスはTVで見た戦争下のアフガニスタンのようにも見えた。というのも、ちょうどパレスへの道の修復作業をしている労働者たちが、現地ラ ダック人ではなくて、カシミール州のイスラム教徒だったから、ターバンやクルタ姿が数人歩いていると、ちょうどそれっぽく映ったのだ。
 
  こういう労働者はインド中、本当にどこへいっても出会うけれど、多くは“外から来た人”が担っていることが多い。いわゆる“出稼ぎ”だ。インドで一番多 いのはビハール州からの出稼ぎ人ではないかと思う。残念ながら、いわゆる“識字率が低く”、経済的に貧しいことはよく言われている。でも、ここラダックにはさすがにいないのでは・・・と私は勝手に思っていた。(この予想は後に全く間違っていたことがわかる。)
 なんにしろ、ここカシミール州内のラダックの経済的な位置づけがまだ良く分かっていない私は、ラダックに出稼ぎに来ている同州内のイスラム教徒の労働者を見て、ちょっと違和感みたいなものを感じた。出稼ぎに来るということは経済的にそれなりに良くないと来な いだろうから、つまりはここは、そのような豊かな場所なのか・・・。まだよく分からないでいた。
 でも、到着後に見ている数件の友人宅だけでも、“貧しさ”を 感じた家はなかった。今までインドの農村によく足を運んだつもりでいるけど、その時に感じる“貧しさ”をまだ感じていなかった。もしかすると、ここはいわ ゆるインドのそれとはちょっと違う何か水準というか、文化というかがあるのかもしれないとようやく感じ始めていた。

     ストックカンギリを含む山々  
     あの後ろにヒマラヤ山脈がある。ここからはインド地図を逆さまに見ている状態。

            お世話になるギュルメット(右)とワンボ
 
 
   町を一望すると、対面に見える雪をかぶった高い山々が気になった。聞いてみると彼ら曰く、それがストック・カンギリだという。彼らの村の名とい うべきか、あの山の名から村の名がついたというべきかは分からないが、まぁ、あんなに立派な山のふもとにストックの村があるわけだ。こりゃあ、誇らしい 山だ。私まで得意げになっていた。というのも、自分の住んでいる土地の山を愛したり信仰することに憧れすら抱いている私にはもってこいのロケーションだっ た のだ。ちょっと得意げな二人の気持ちがすごくわかる気がした。
 それにしても、本当に青い空と、澄んだ 空 気、静かな大地には、それ自体からものすごいパワーを感じる。いつか必ず行かなければと思い続けてきたヒマラヤの山々は、もう私の目の前にあるどころか、 私はそのただ中にいた。じっくりこの山の中の生活を味わっていこう。そう思うと胸が弾んだ。
 
  それからは、彼らと一緒にランチをしたり、街の中を更に探索したり・・・、とやってはいたが・・・、決して大きくもない街だからいつの間にか同じところを 歩いていたり、さっきもここ来たよね・・・?みたいなことも何度かあった。だからついつい、こんなものか・・・とさえ思ってしまったが、これはしょうがな いことだ。大都会じゃないんだから。このくらいの規模がむしろ素敵なはずだ。それに、初日でまだよく分かっていないんだし、いろんな店なんかも見てから言 うことにしよう。

 最後に、彼らは私をポログラウンドなる場所に連れて行ってくれた。本来は名の通りポロの競技が行われるようだけど、今日はここでサッカー対戦が行われていたのでびっくり!こんな高地(
3500mくらい)でも本気でサッカーやってるんだからすごい。どういう肺を持っているんだろう・・・。
  大のサッカー好き(プレー、観戦共に)の私は、ラダックに来る前に南インドのマイソールにて、子供達と毎日サッカー三昧だったし、インドの暑さでのプ レーにも体力的に自信がついていたが、ここラダックでの高地プレーには全く自信が湧かなかった。よくできるよなあ~と、あっけに取られながらも、ワンボも 学生時代サッカーをやっていたというのでサッカー話に花を咲かせた。
 「もっとパスつながなきゃ~!」とか言いたいこと言いながら、いつの間にか興奮している私。そうそう、ワンボの弟のアバヤ(先に登場)がいかにいいミッドフィルダーだったかの話をまた熱く語りだした私。
 ああ、どこでもサッカーに出会えるなんて、なんて幸せな旅だろう・・・。しみじみ嬉しくなった。

 
 午後もいい時間になった頃、ストックへはまたバスで帰る。時間も決まっていて本数も少ないようだ。
 日中は日差しが強く日焼けしそうなほどだ。標高が高い分、紫外線もきつく感じるし、目に刺さるような強い日差しにはサングラスが欠かせない。
 
 ミニバスの中で流れるラダックのポップスらしき歌が、インドに来て、ヒンディーの映画の歌をはじめて聞いた時のように、みな同じに聞こえて懐かしかった。
  

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